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緊急掲載!

JHF法務委員会は2002年3月30日、その活動の報告をインターネット上に公開しました。
そこにはとても重大なことが記されています。
私たちJHFフライヤー会員は、このインターネット上に公開された情報を全員で共有しましょう。
せっかく掲載された法務委員会の情報が削除されかねない状況なので、重要な内容を全文保存し、この場に転載します。

●JHF法務委員会ホームページ内容を転載します。

http://www8.ocn.ne.jp/~samjii/  ←#JHF法務委員会ホームページより転載


ある日の法務委員会の会合にて―その2

(ケーススタディ:東京地裁平成12年ワ9780号損害賠償請求事件についての解説)

場所及び日時 横浜元町にある静かな喫茶店内にて、某月某日の昼下がり。
登場人物:会長 A、担当理事 B、法務委員長 C、法務委員 D、
尚、以上の設定は、すべてフィクションです。


その2−1. 本件訴訟の主たる争点と連盟理事会の対応


A  皆さん、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
 早速ですが、本日の会合を始めたいと思います。

B  先日の会合の中で、Cさんから次のような説明がありましたので確認します。  本件訴訟における主たる争点は、大会主催者に具体的な安全配慮義務違反があり、その結果参加選手の死亡事故が生じたのか、それとも本件は、参加選手の全面的な操作ミスによる自損事故なのか、ということです。  そして、この主たる争点の主体は、原告と大会主催者すなわち他の被告二名であり、連盟は「主体」ではない、ということでした。 よろしいですね。

C  はい。裁判記録上その通りです。 この点は、昨年(平成13年)10月理事会において、私が、現連盟訴訟代理人(=被告側共通の訴訟代理人)N弁護士にも確認しております。同弁護士も、理事会の場で口頭及び報告書によって主たる争点が上記の通りであることを明らかにしております。

 尚、同弁護士の報告書は、正会員に送付されています。

A  うーん。 となりますと…。 これまで被告である連盟と他の被告二名は、一体となって主張・立証をしてきたということですから、連盟は、自らが主体となっていない争点についてまで他の被告二名と全く同一の主張・立証してきている、ということになるのでしょうか。

B  そんなことが…(表情がこわばる)。 もう少し説明していただけますか。

D  先日も説明があったと思いますが、原告の連盟に対する主張は、より詳しくは、競技会開催について「明確な安全基準」を「策定し、指導すべきであるのにこれを怠った過失がある。」、「大会主催者が、… パイロンを設定するにつき、…飛行者の安全確保」のために必要な措置をするよう「指導すべきであるのに、これを怠った過失がある。」等というものです。

 連盟としては、これらの原告の主張に対してのみ、公平・中立性を維持しつつ、連盟定款・規程等に遵って、主張・立証を尽くすべきなのです。

 これはまた、理事の善管注意義務(民法第644条)の内容をなす事柄です。

 ところが、連盟理事会は、原告の他の被告二名に対する主張すなわち、大会を実施する者には、「参加者が直面することがありうる危険からその生命・身体の安全を確保すべき注意義務がある。」という主張に基く主たる争点(=本件訴訟における主たる争点)についてまで、これまで他の被告とともに全く同一の主張・立証をしてきているのです。

 本件は連盟主催の大会ではなく公認大会ですから、特に連盟は、原告の連盟に対する上記主張に対処することで足りるにもかかわらず、この点についてほとんど対処してきていません。 もっとも、これは現訴訟代理人が実質的にどの程度連盟の代理人としての役割を果たしてきたか、という問題として考えるべきであろうと思われます。

C  本件訴訟の主たる争点は、実質的には、連盟会員間の争点です。
 他人間の争点すなわち連盟会員間の争点について、連盟が、一方の側に立って主張・立証を行うことは、全ての会員から等距離・等間隔すなわち公平・中立であるべき連盟の立場に鑑みれば、極めて不適切なことと言わなければならないと思われます。

B  そのことが、本件訴訟に関する連盟の対応の問題点ということですね。

A  連盟が、公益法人としての立場を自覚するなら、本件訴訟の主たる争点である他人間の、さらに言えば、連盟会員間の争点について、一方の側に立って主張・立証すべきでないのは明らかです。
 しかし、現時点に至るまで連盟は、他人間の争点について結果として一方に加担してきているということが良く理解できました。


その2−2 本件訴訟に関する連盟理事会の対応の問題点


A それでは、このあたりで一度、理事会の対応の問題点を整理していただけますか。

C  はい。 
 私が法務委員会委員の委嘱を受けて訴訟記録を見てすぐに把握したことは、答弁書、準備書面等に三被告共通の訴訟代理人一名の氏名が記載されていたことです。

 仮に、連盟と他の二被告の事故に関する立場が同一であったとしても、公益法人として連盟は、他の被告とは一線を画して対応すべきです。ですから、訴訟代理人は独自に選任すべきですし、答弁書、準備書面、書証等も別個に提出するべきです。
 以上は、訴訟記録の内容に立ち入る前に把握した(把握すべき)ところです(問題点1)。

 次に訴訟記録の内容に立ち入り把握した問題点は、提出されている答弁書、準備書面、書証等の内容も連盟と他の二被告は、全く同一であるということです(問題点2)。

 また、訴訟代理人の選任に関しては、これも昨年の10月理事会で確認済みですが、他の二被告の顧問弁護士であるN弁護士を連盟の訴訟代理人に選任しています。

 このように、連盟が他の二被告と同一の訴訟代理人を立て、準備書面、書証等を同一のものとする、つまり、同一の主張・立証を行う必要性も許容性もないと考えられます。

 「必要性」については、そもそも連盟は、他の被告とは独立の立場で主張・立証できる法的地位にあります。すなわち、連盟と他の被告二名は、ともに被告となって同じ期日に審理を受けてはいますが、それは事件が同一であるが故に時間、労力、費用の節減や審理の重複、矛盾判断の防止を事実上期するという便宜上の理由からにすぎません(通常共同訴訟)。したがいまして、連盟は、他の被告の訴訟追行に制約されることなく独自に訴訟を追行しその効果を受けることになるのです(共同訴訟人独立の原則)。

 以上から、連盟は他の被告と共同して、つまり同一の主張・立証をする法的必要性はないということになります。

 次に「許容性」についてです。 本件訴訟は実質的には連盟会員間の紛争ですから、法人運営(定款等)の観点から、公共性の自覚に立って(公平・中立性を維持しつつ)訴訟を追行すべきものと思われます。

 ですから、内容的にも外形上もすべての会員からの信頼を損なわないように訴訟に対処するためには、仮に他の被告と本件事故についての判断が同一であったとしても、連盟が、他の被告二名と訴訟代理人、準備書面等を共通にすることは適切でないのです(許容性がない)。

D  さらに、本件訴訟の主たる争点すなわち、原告と他の二被告との間の(=実質的には連盟会員間の)争点について、その主体でない連盟が一方の立場にたって主張・立証をし(=同一の準備書面、書証等を提出し)てきている。

 これは、連盟が一方の側に加担する結果となる対応であって、公益法人としては適切でないと思われます(問題点3)。
 連盟は、訴訟対応の外形のみならず、主張・立証の方法、態様及び内容についても、ハンググライディングの統括団体・普及団体にふさわしいありかたを選択すべきであると考えます。

A,B  ・・・・・。

C  以上の整理を前提とした当委員会の提案を拒絶した理事会の多数派の方々は、連盟が他の被告二名と訴訟代理人を共通にし、且つ主張・立証も全く同一にする必要性と許容性を明確に説明すべきです。

A,B  ・・・・・。

D  しかし、法的な「必要性」はあり得ませんから、事実上の「必要性」ということになるでしょうし、公益法人の運営上の観点からの「許容性」も常識的に考えてもあり得ませんから、その上で説明の可能性を考えてもかなり限定されてきますね。

 はっきり申し上げて、他の二被告に関する本件訴訟の結果を有利にするためには、連盟に同一の訴訟方針と主張・立証内容を採らせる必要があるということ、そして、他の二被告のために連盟に同一の主張・立証等を採らせることは許容される、ということになります。

A  「必要性」については、「パイロットの自己責任の原則が破壊される」ことのないように必要だ、という主張がありましたが、先日の説明でこれは成り立たないですね。

 それと、「すべては、パイロットの責任で、その他の関係者は責任追及されるべきではない」というのが「航空界の常識である」という見解(?)があります。

 法律論として成り立たないことは良く理解できたのですが、この「航空界の常識」というのがひっかかるのです。

C  その「見解(?)」は、教習検定委員会が理事会、法務委員会及び正会員に書面で送付してきています。 これについては法務委員会も既に回答(?)を用意していますので、

 詳細はそれをご覧いただくことにしますが、結論は、そのような「航空界の常識」は存在しない、ということです。

B  となると、「必要性」と「許容性」を示すための説明がつかなくなり、Dさんのおっしゃる通りということになりますね。
あ、そうです。敗訴すると判例が確立して不都合だ、というのを聞いたことがあります。

C  スポーツの事例での判断枠組みとして、大会主催者側に安全配慮義務があるという事例は、判例にいくつもありますので、その意味では既に「判例は確立して」います。
 ご心配には及びません(笑)。

A  …少々疲れました。本日はこのくらいにしたいと思います。
  皆さん、ありがとうございました。

B  Aさん、待ってください。今日は一杯やる約束では…。

A  …。 (バタン! ドアを閉める音とAの走り去る音のみが部屋に響く…)




INDEX

1.TOPページ

2.設立の経緯

3.委員会規定

4.係争中の訴訟についての 基本姿勢

5.係争中の訴訟についての 解説 その1

6.係争中の訴訟についての 解説 その2

7.法務委員会提案書 中間報告 補足書

8.その他 訴訟資料

9.委員会構成員