Paraglider JOHO box. TAKAYAMA
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高山事件資料集


●「FAIやCIVLの大会主催者のためのガイドライン」

Practical Guidelines for Organisers
of FAI/CIVL Competitions

http://www.fai.org/hang_gliding/documents/comp-guidelines.asp
*「ドキュメント」をダウンロードし解凍してご覧ください。

*高山事件で問われている責任はいくつか有る。責任には色々あるのだ。
 高山事件の被告は、大会主催者であり、チーム監督であり、機体輸入元であり、提供者でもある。

責任について一方的なアナウンスがされている日本の現状で、世界のガイドラインを知ることはとても重要です。
このガイドラインは、大会主催者や原告、捜査関係者だけでなく、私たちフライヤーにとっても意味深いものです。
競技会において参加選手が責任者と呼ばれることはありません。オーガナイザーが責任者です。
このガイドラインを読んで痛感します。無責任な人間が競技会をオーガナイズしてはいけない!

■「FAIやCIVLの大会主催者のためのガイドライン」について、
  「風待ち」に投稿された小林誠司さんの日本語訳を含む書き込みを転載させていただきました。

*小林誠司さんは、元JHF副会長で、CIVL担当だった小林朋子さんの旦那様です。
  ご自身も自費でCIVL会議を傍聴するなど、日本でもっともCIVLに精通しているご夫妻です。
  ご了解を得て、書き込みの全文を掲載させていただきました。

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CIVL での責任の考え方 投稿者:小林誠司  投稿日: 7月 7日(日)08時49分10秒

>3. 「自己責任」に関わる教習検定委員会の解釈
--中略--
>このことは、財団法人日本航>空協会の傘下にある航空団体についても共通
>であるのみならず、CIVIL やFAIにおいても全く同じであることは、ご承知のことと存じます。

私は、CIVLの年次総会を3回、(自費で)傍聴してきたことがあります。
私が傍聴していたときには、「一定以上の知識、技量、経験を有することが認められ
パイロットライセンスを得た者が、ハングやパラに搭乗して行う機長としての飛行は、
その飛行の全ての責任を負わなくてはならない」、という話や議論は出ていませんでした。

もしかしたら、当たり前のことなので議論にならなかったのかもしれませんが、少なくとも
私は知らなかったです。

どこかに書いてあるのかと思って、先ほど FAI と CIVL の Web を見たのですが、
私には見つけられませんでした。誰か見つけたら、書き込みをお願いします。

その代わり、、下のリンクのページにある

「Practical Guidelines for Organisers of FAI/CIVL Competitions」という書類
を見つけました。この書類のタイトルを日本語に直すと「FAIやCIVLの大会主催者のための
ガイドライン」でしょう。
これは法律的な効力のある文書ではありません。ガイドラインなので、FAI や CIVLの
大会運営は「こうあるべきだ」という考えかたを示した文書です。
外国で安全に対してどう考えているのかを知るには、良い材料だと思います。

この文書の5ページに、安全に関して記述があったのでそれを以下に引用します。

SAFETY
A word about task safety :

( THE MEET DIRECTOR (MD): has a fundamental role with regards to task safety

The pilot has individual responsibility (he/she is always in charge of his/her aircraft),
but the MD has a collective responsibility with regards to all pilots who fly in the task.
Organisers should be aware that individual responsibility of pilots disappears quickly once
the competition is under way (encouraged by the group effect pilots can find themselves
persuaded to fly in conditions that are too strong, and as a result may put themselves in danger).
Thus the collective responsibility of the MD should predominate and moderate the shortcomings of
the pilot's responsibility.
The position of MD is not easy because he is under pressure from the competitors, and in
addition needs to validate his competition.
If in doubt, one word of advice: No task, no matter how good, is worth the injury of a pilot.

--小林誠司の翻訳---

タスクの安全確保に関して:
ミートディレクタ(MD)はタスクの安全確保に重要な役割を果たす

各パイロットは、(グライダーを扱っている限り)個人としての責任があります。
これに対してMDは、タスクに参加している全てのパイロットに対する全体的責任があります。

大会運営を行う人たちは、ひとたびゲートをオープンしたら、パイロット個人の責任が
急速に消えてしまうことに気づくべきです。というのは、パイロットたちは例え強すぎる
コンディションであっても、他のパイロットが飛び始めると「グループ効果」で
「自分も飛べるコンディションだ」と考え、結果として自分を危険にさらしてしまうのです。

MDとしての役割は簡単ではありません。なぜなら、彼はパイロットから圧力を受けているし、
さらに大会を成立させたいという気持ちもあります。

もしも(開催を)迷うような状況になったときの為に、私からアドバイスをあげましょう。
「例えどんなに良いコンディションであっても、タスクキャンセルは、けが人よりも価値があります。」

--翻訳終わり---

皆さんの活発な議論のご参考になれば幸いです。

http://www.fai.org/hang_gliding/documents/comp-guidelines.asp

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CIVL での責任の考え方(その2) 投稿者:小林誠司  投稿日: 7月 7日(日)08時57分07秒

先の書き込みでご紹介した文書の48ページからは、同じ内容のことが、もっと詳しく
書かれていました。
48ページからの文章は長いので原文を省略し、私の翻訳だけをアップ致します。

--小林誠司の翻訳---

ミートディレクター(MD)はパラの大会中に命令者(コマンダー)としての重要な
役割があります。 MDには権限として、
  その日のタスクを決定する権限
  タスクを中断する権限
が与えられているのです。

これらの権限は重要であるから、その裏返しとして重大な責任を負うこととなります。
つまり、パイロットが最も安全な条件で飛べるように保証しなければならないのです。
彼(MD)はもちろん、パイロットが個人の責任範囲で行う行動に関しては、何も
コントロールすることができません。(例えば雲中飛行や、地上10mでアクセルを踏むなどの
危険な行為があった場合、MDはそれをコントロールすることはできないのです。)

MDの責任は、タスクで飛行している全てのパイロットに対する「全体的な責任」です。
ですからMDは、大会がグループダイナミズムを作り出して、時としてコンディションが
悪いのにパイロットをテイクオフさせてしまうことに気づかなければなりません。
パイロットの内の何人かは、大会になるとフリーフライトとは違う行動をとってしまう
のです。これらの人たちに対しては、保護が必要なのです。

とは言うものの、MDの役割は簡単ではありません。MDはいつでも、大会を成立させたい
というプレッシャーにさらされています。彼はいつも地上にいて、上空でなにが起こっているの
か、正確には把握することができません。彼に対して、地上のパイロットたちはプレッシャーを
かけることもあるでしょうし、また上空のパイロットから無線でプレッシャーがかけられる
事もあるでしょう。

そこで、以下はMDが決定を下すときの為の、助言です。

公式の天気予報を信じなさい:
天気予報が1500mの高度で50Km/h の風速を予報するとき、例えテイクオフの風が
穏やかでも飛ばせてはいけません。このことは「当たり前」だと思われがちです。
しかし過去に、このような悪条件でもタスクが行われたケースがあるのです!
ある大会でこのような悪条件のとき、あるパイロットが以下のように主張したこと
もあります。
『いつも天気予報を信じていたら、ベストコンディションのフライトチャンスを
逃してしまう。。。』
もちろん、時々は天気予報よりも実際の天気が穏で、もしもタスクを実行していたら、
すばらしいタスクになっていたであろうという場合もあります。でも天気予報は、
同じような確率で、逆の方向に外れることもあるのです。50Km/h の予報であったのに、
70Km/h になってしまったり。。。
MDが天気予報を信じて中止させたために、『実現しなかった夢のタスク』があったとしても
それは、パイロットを怪我させるほど重要ではありません。

このような問題は、パラグライダーのルールを変えて、
『風速XXm 以上であればタスクをキャンセルする』というルールにすれば解決する
問題ではありません。MDがサイトの状況を十分に理解して、MD自身で条件を
設定し、(例えパイロットから圧力があっても)MDがその条件を変えない事が
必要です。

http://www.fai.org/hang_gliding/documents/comp-guidelines.asp

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補足=MDについて

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そうですね 投稿者:小林誠司  投稿日: 7月 7日(日)14時52分39秒

ミートという言葉は、大会を意味するようです。
ミートディレクターという言葉ですが、その役割と権限を考えると、
日本語では競技委員長が相当すると思います。

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以上

日本では判例が無いので、明確な責任の基準がわかりにくかったのですが、長年世界戦を戦って来た競技関係者が、
日本だけ、「主催者の責任が一切無い大会運営が出来る」と考えているのでしょうか?

*責任には様々な責任があり、状況や立場によって内容も質も違うはず。
 
一方的な「自己責任キャンペーン」を繰り広げる無責任な大会主催者達に、
 選手は不利益を押しつけられる訳にはいきません。

●たくさんの情報ありがとうございます。順次、得られた情報を追加していきます。
  さらに、みなさんからの情報協力をお願いいたします。


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Lust up date July/15/2002