3.ウォータートレーニング体験記
スカイダイビングではBライセンスを取得するにはウォータートレーニングと言って、着水した際の訓練を受けなければなりません。これは実際に水に浸かってやる訓練です。Bライセンスが取得できなければ、その上のCライセンスやDライセンスは取得できませんので、スカイダイビングを続けて行くには受けねばならない訓練と言って差し支えないでしょう。
私がスチューデントの時にジャンプしていた鳥取砂丘は風の強い所で、身体の軽い小柄な女性の場合は、開傘後たまに風に流されてバック飛行することがありました。
ですから、ひもを引けば自動的に膨らむ浮き具を必ずジャンプスーツの下に着込んでジャンプしていました。
着水時のこともやかましく言われ続けていました。ですがスチューデントの間は着水の地上訓練のみで良いことになっているので、実際に水に浸かってやる着水訓練は96年の夏に受けました。これはその時の状況です。
最初にウォータートレーニングに関してインストラクターから講義を受けます。
以下はその時のテキストの内容です。
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1.目的
このテキストは、スカイダイビング中には発生する可能性のある、海、川、湖等における、不時着水に対し、安全に対処し、水による事故を未然に防ぐために行うものである。
2.ウォーターランディングを防ぐには
事故は何でもないと思った時に発生する。普段からの心構えが重要である。
(1) 早めの回避が事故を防ぐ。
(2) スクエアキャノピー(注:四角形のパラシュート)はコントロールできる。
(3) 細い川ならば、早めに回避し、PLF(注:五点着地)にそなえる。
(4) 海、湖で回避のしょうが無い場合、離脱の準備は早めに行う。
(5) 近年ウェイトを着用している人が多いが、できるだけ捨てる。
3.実施要領
(1)地上での吊下げハーネスによる、離脱の練習。
(2)練習用ハーネスにキャノピーを取り付けプールに飛び込みキャノピーを上からかけ、実際の着水と同様の状態で、離脱を行う。
* これは遊びではなく、トレーニングです。心構えをきちんとしないと、事故になる可能性があります。
4.事故事例
(1)水の流れに引きずり込まれた。川の深さは膝ぐらいであった。
(2)深いと思って上空でカットアウェイをし飛び込んだら浅かった。カットした高さは約10mぐらいであった。
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講義の中で、遅くとも100フィート(約30m)で判断すること。着水直後はキャノピー、コンテナが浮いていること。水の深さは上空からは目測しにくいのでカットは危険であることなどが付け加えられました。
次に装備を付けて地上訓練です。どうするかの説明を聞いて、実際にやってみます。
(1)胸帯を外す。
(2)トグルを片手で2つとも持つ。(片方づつ持ち替える。でないとレッグストラップを緩めた時にトグルが上に上がってしまって掴めなくなる)
(3)レッグストラップの金具を持って、片方づつ緩める。
(4)水面を地面と見立てて着水の際にフレアをかける。
(5)トグルを離し、両肩からハーネスを脱ぐ。
(6)下に向かって潜って、パラシュートより前方に逃げてから水面に出る。
これらをやってから次は実際にプールに行って実地の着水訓練です。
プールの深さは6フィート以上(約180cm)と決まっています。
水着の上に必ずTシャツを着ます。(これは裸の状態と服を着た状態では違ってくるからだそうです。)
そして装備を着けます。この時、あらかじめ空中でやっているものとして、胸帯は外し、レッグストラップは緩めておきます。
キャノピーは後ろに広げた状態で、左右を他の人が持っています。
プールの端に立ち、まず本人がプールに飛び込みます。続いてキャノピーをもった2人が頭の上に被せるように飛び込みます。
それから説明どおりにハーネスから抜け出てパラシュートの前の方に泳いでいきます。
実際にやってみた感想としては、ほとんどカナヅチの私にとっては怖いものでした。飛び込んだとたん上から何か被さってくるというのは恐ろしいものです。実際に初めてこのような状況になった場合は、はたして冷静に対処できるかどうかは?です。
「もう1回やりたい人?」と聞かれましたが、怖いので遠慮しました。
日本国内におけるスカイダイビングの死亡事故というのは、着水によるものが多いそうです。
それを聞いたときは「何で?」ってな感じでしたが、この訓練を受けてからは何となく納得がいきました。
イントラの方は、この訓練もその昔は水面に救助ボートを浮かべて実際に着水ジャンプしたそうです。とっても怖そ〜!
訓練がひととおり終わった後、バラストスーツ(鉛のおもりの入ったチョッキ。体重が軽い人が使う。)があるので、これを着て泳ぐ練習もした方が良いというので、やってみました。
ほとんどカナヅチの私は、そのまま潜水泳ぎになってしまい、あわてました。
「世良くんバラスト着けて着水したらどうしようもないね。」というのがイントラの有り難い忠告でしたとさ。