1.戦え!獅子吠高原!!



 この春は転勤でドタバタと忙しく、ほとんど飛べなかった。6月に入ってようやく完全復帰したものの、天気が悪くてさっぱり。ようやく月末に福泊で約5ヶ月ぶりにエスケープでフライトしたところ「あれっ!こんなに早かったっけ?」「うっ!ブレークが敏感だ!」ってことで・・・「怖い!」・・・そう、久々過ぎて怖いのだ。
 30分ほどたって、ようやく勘をとりもどしたものの、あれほど飛んでいても間が開くとこうも怖さがでるものかと思ったのであった。
 そして7月。城山で初フライト。やはり最初の30分は怖い。なんとしてでも早く勘を取り戻そうと思って3時間以上フライトした。
 その後7月は天気が悪くてさっぱり。8月に入って早々岩屋で3時間のフライト。
 何をそんなにあせっていたのか?答えは9月の獅子吠の大会を目指していたから。
あまりにも少なすぎる今年のフライト時間。しかし大会には出たい。出るには練習しなくてはってことで、ひたすらフライト時間稼ぎ。
 大会の承諾書が来てからはさらに熱心にフライト三昧。ひたすら大会に備えた。
 
 大会の日程は1998年9月4〜6日。3日は公式練習日。はじめて公式練習日から大会に行くことにする。今回は珍しく参加者は我がチームからは私一人。気合いが入る。
 2日夜。天気予報では翌日が思わしくない。当初予定の夜から獅子吠に行くのは止めて、3日は岩屋で練習することに予定変更。
 3日朝。岩屋着。既に何人かが飛んでいる。地元在住のフライヤー梅ちゃんを呼びだしてテイクオフまで上げてもらう。テイクオフに到着したが、さっきまで飛んでいた人たちは皆降りてしまった。条件はスクール生にはきついらしく、スクール生が待機していた。
 条件を見てテイクオフ。ややぐらぐらするコンディションだ。800m以上ゲインする。今年の最高ゲインだ。ちょっと怖い。サーマルもやや不安定で、翼がヨーイングを起こしてまっすぐに飛行できない。他にだれも飛んでいないのも不安だ。降りたくなってきた。
 テイクオフを見ると、赤い機体が飛んでいる。そっちの方に近づいてみる。こっちは高度を落とし、向こうは高度を上げてくる。同じくらいの高さになった。UPの新型機ブルースのようだ。
 ならんで飛ぶとすぐに追い抜いてしまう。スピードはこっちの方が上だ。しかし浮きは変わらないようだ。向こうはさらに上昇していくが、こっちはこんなコンディションもうたくさんとばかりランディングを目指す。
 ランディングも荒れている。ひやひやしながら、何とかランディング。
 牛小屋で梅ちゃんとしばらくだべった後、獅子吠に向けて出発。この日の飛びで飛行時間の少なさを痛感。翌日以降に不安を残した。
夜、獅子吠に到着。何台も車が来ている。次々と車が来る音を聞きながら就寝。
 
 翌4日。起きると岩屋のメンバー・・加藤豪くん、蔀さん、岩谷さんがきていた。
 朝のうち曇っていた天気も、開会式の頃には晴れていた。良い試合ができそうだ。
素早く移動して早々にテイクオフで順番を待つ。それでも総勢65人のうち30番目ぐらいだろうか?トップ選手達は空でも地上でも動きが早い。
 約20kmのタスクが決定。ダミーの上がりはやや渋い。トップ選手のうち何人かは様子見でテイクオフする気がなさそうだ。私は昨年同様なるべく早くテイクオフすることにする。
 テイクオフの順番が回ってきてようやくテイクオフ。風が弱いので前向きだ。一発でOK。既に機体で蚊柱になったサーマルを目指す。
 サーマルが小さくて旋回の小さなサーマルだ。怖い。しかし入らなければ上がらない。 ガーグルに突入して小さくて密集したガーグルの中で必死に回す。しかし、実際に回し出すと、選手のレベルが高いのか、危なさを感じる場面がほとんどない。翼端の文字がはっきり見えて、他のパイロットの顔がはっきり見えるほど近いのにだ。これほどの超接近センタリングは私にとっても初めてだ。通常なら、こういう場面では恐怖にかられてか突然リズムをみだすような奴がいるものだ。そして怖い思いをする。しかしそれが無いのだ。
 恐怖がないわけではない。しかし皆うまく回している。なかなか良い気分だ。
 条件も次第に良くなりだし、やがて高度を稼ぐとパイロン目指して飛び出す機体がでてきて、徐々に散らばっていく。
 他の機体を追いかけて付いていきたくなるが、じっと我慢する。
 私のエスケープではその他大勢の新型機よりも滑空性が落ちる。付いていけば届かないだろう。ここでひとつの方針をたてる。
 「500m以上ゲインしないと移動しない!」
 他の機体が次々と走り出す中、ひたすら上げ続ける。500m以上上昇してからようやく最初のパイロンを目指す。以後も同じことの繰り返し。
 ランディングを見ると、何機もの機体が早々と降りている。
「後2つパイロンを取ればゴールだ!」こう思ったのが運の尽き。遂にランディングしてしまう。
 しかし結構満足のいく飛びができたわいと自己満足。
 その夜の結果発表を見ると、何と!65人中17位!!過去最高成績ではないか!!!
 並み居るスーパープロト機や、コンペライン機、新型機を相手にしてよくぞこんな成績が出せたものだ。今年は飛行時間も少ないのに!満足しこの日は早々に就寝。

 翌5日。雲がやや多い目だが、晴れているので飛べそうだ。
 鉢伏の常陰さんが来ている。昨日は仕事で来れなかったそうだ。昨日の話を聞いて残念そうにしている。 
 今日も失敗の少ないように飛ぼうと決意しながら早々にテイクオフへ向かう。
 テイクオフでは昨日よりも早い順番だ。タスクは約40km。こんな条件でできるのかと思う。
 昨日よりも渋そうだが、順番通りテイクオフする。今日は風があるのでバックでテイクオフ。一発でOK。
 今日は雲底が低くて渋い。350mほどゲインしただけで雲中に入りそうになる。翼端を折って脱出。もっと条件が良くなるだろうと思い、雲の端で待ちの姿勢に入る。しかしこれが失敗の元。雲が去るとさらに渋くなってしまい、瞬く間にテイクオフ高度ぐらいにまで落ちてしまう。さっきの間にパイロンを取っておけば良かったと思うが後のまつり。
 さらに渋くなって、テイクオフより高度が落ちる。ランディングに次々と機体が降りていくのが見える。必死に斜面に張り付いてレベルキープする。時たま湧き出るサーマルを捕まえてテイクオフより高く上げる。最初のパイロンを目指すが、高さが足りずに引き返す。後は同じことの繰り返し。
 2時間たった。いいかげん疲れてきた。フリーフライトの2時間と違って大会の2時間はとっても疲れる。まだ最初のパイロンすら取っていない。そろそろ降りたくなってきた。ランディングを見ると、翼端を折ってそっちへ向かいたくなる誘惑にかられる。
 しかしテイクオフからリフライトしてくる機体を見ると、何とかやる気が湧いてくる。
 さらに30分。ようやく良いサーマルを捕まえた。CCJの佐藤選手のMAX、DKの武尾選手のエスケーププロト、ベストスポーツの森山選手と柏木選手のXXXコンペも一緒になって回す。佐藤選手と武尾選手が一歩先に上がりだした。負けじとばかり追いかけるが、見る見る差がついてくる。下を見るとXXXコンペ他その他大勢が上がらずにはいずり回っている。何となく良い気分だ。
 結局、上げきれず。しかし最初のパイロンに何度目かの挑戦をする。途中で何とか上げ直し、ようやくパイロンを取る。条件が渋く結局2つパイロンを取って終わり。飛行時間は3時間。疲れた!!
 加藤豪くんと蔀さんに3時間飛んだと話すと、「あの渋いなかを!」と言って驚いていた。二人ともリフライトしたのだそうだ。
 この日の成績は35位。2日総合で19位。まだ満足できる成績だ。最初にパイロンを取っておけばと悔やんでも後のまつりだ。翌日に備えて早々と就寝。今日は疲れた。

 最終日6日。天気は曇り。キャンセルになって早々と帰りたい気分だ。しかし今日もやるとのことで早々にテイクオフに向かう。昨日よりさらに順番が前だ。
 テイクオフは結構風がきつい。あわててバラスとの水を積むことにする。
 風が弱くなるとは思えないが、弱くなる可能性があるってことで競技開始。
 今日もテイクオフは一発OK。
 アクセルを踏まないとのろのろとしか進まない強風。しかし高度は落ちないので100mほどしかゲインしていないが早々と最初のパイロンを目指し撮影する。
 テイクオフ前に戻るがさらに風が強くなったようだ。アクセルを踏まないと全く進まない。皆ほとんどホバっている。こんな状態で競技が成立するとはとても思えない。こんなコンディションは願い下げだ。キャンセルになる前にランディングを目指すことにする。
 ランディングを目指しているとキャンセルの無線が入る。誰よりも早く翼端を折って降ろしにかかる。無事ランディング。
 これで65人中19位が確定だ。ポイント大会で過去最高成績だ。機体性能の差と練習時間を考えると大満足だ。自分より上位の機体と顔ぶれを見ても、これ以上の成績は取れそうもなさそうだ。しかし、何となくポイント大会に限界を感じつつ、獅子吠を後にした。
  
# 後日、2日目の成績がポイント大会としては用件を満たしていないということで、
  ポイント大会としては初日の成績のみ有効となった。つまり私は17位だそうだ。
  でもポイント登録してないから関係ないけどね!
 


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